久しぶりの更新となりますが、今回は微生物発酵で使用するセンサについて紹介します!
微生物発酵では培養状態のモニタリングするためにさまざまなセンサを使用します。AIの進化もあって、最近はさまざまなセンサによるデータ収集が盛んですよね。
今回は、その中でも押さえておくべき、3つのセンサについて紹介しますね。
- pHセンサ
- DOセンサ
- CO2センサ
この3つのセンサについ紹介しますね。
pHセンサ
pH(ピーエッチ、ペーハー)は水素イオン指数のことです。簡単にいうと、液の酸性、アルカリ性の程度を示す指標となります。
pH7.0が中性で、pH7.0よりも値が小さくなると酸性、大きくなるとアルカリ性になります。
微生物の培養ではpHが菌の増殖にダイレクトに影響するため、培養をモニタリングする上では重要な指標になります。
初発pHが適正でないと微生物が全く増殖しない。また、微生物が炭素源を消費すると有機酸が産生されpHが下がる、培養後期にアンモニアが出てきてpHが上がるなどの現象も起こります。
pHは微生物の代謝の切り替わるポイントで変化する指標となります。
センサの選定については、培地殺菌や缶内圧に耐えられる強度を持つセンサが必要となります。発酵でよく使用されているセンサはズバリ、メトラー・トレド社のものですね。
ほとんどの発酵の現場で使用されているといっても過言では無いでしょうか?
信頼性の高いセンサとして発酵業界ではよく使われています。
DOセンサ
次にDOセンサについて説明します。
DOセンサのDOはDissolved oxygenの略で、液中の溶存酸素濃度を測定するセンサになります。
このセンサは微生物が液中の酸素をどれだけ使用したかを確認するために使用されます。
微生物の増殖が進むにつれて液中の酸素が消費されるとDO値は低下していきます。増殖が進むほどDO値は低下し、逆に下がらないと増殖が進んでいないことになります。
DOは微生物の増殖度合いや培養液中の酸素の過不足を知るための指標となります。
このDOセンサもpHセンサと同様に培地殺菌や缶内圧に耐えられる強度が必要となり、同様にメトラー・トレド社のものがメジャーですね。
「pH、DOセンサともにメトラー・トレド強し!」という感じです。
CO2センサ
3つ目はCO2(二酸化炭素)センサになります。
このセンサは培養槽から排出される気体中のCO2濃度を測定するセンサとなります。
培養槽のアウトレットラインから排出される気体中のCO2濃度を測定に使用するため、上記のセンサと違ってインライン(液に触れない)ではないという特徴があります。
微生物の増殖が進むと呼吸量が増えて、排出される気体中のCO2濃度が高くなっていきます。この値を数値として測定します。逆にCO2濃度が増加しないと増殖が進んでいないことがわかります。
CO2濃度はDOと相関するような動き(DOが下がるとCO2が上がる)をしますが、全く同じ動きをするというわけではありません。DOがゼロになっていても、CO2濃度が一定レベルを維持するということもあります。
CO2濃度は微生物がちゃんと呼吸をしているか、微生物の生育の状況を知る指標となります。
CO2濃度の測定は、エイブル社の排ガス分析装置が使い勝手がよいです。質量分析計も使用できますが導入費用が高額になるため、CO2測定にに特化したタイプがよいですね。
ミニジャー用の排ガス分析計(OFF-GAS Jr.)でも使用上は問題無いです。測定方式やセンサの寿命がやや異なりますがどちらも使用できます。
まとめ
以上、今回は3つのセンサについて紹介させていただきました。簡単にまとめると以下の通りです。
- pHセンサ:培養中の代謝の切り替わるポイントがわかる!
- DOセンサ:培養液中の微生物の生育度合、酸素の過不足を知ることができる!
- CO2センサ:培養中の微生物の呼吸のレベル、生育状態を知ることができる!
センサについては、今回紹介させていただいた3つ以外に濁度やORPなどいろいろなセンサが目的に応じて使用されています。今後、センサの多用によるビッグデータを取得、AIによって培養状態を診断できるようになるかもしれません。
ただ、今はこの3つで十分だというのが私の自論です。センサがたくさんあっても分析することが難しくなるのでまずはこの3つのパラメータを軸に培養分析をすることをおすすめします!
ご参考下さい!
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