バイオの仕事にとって培養は欠かせません。
微生物の培養がうまくいっているのかどうか? 目的の物質が目標量は生産できているか?
みなさん、心配ですよね。
培養の状況をモニタリングして、適切なタイミングで条件変更したり、培養停止するには培養経過図をみれることが技術者には必要なスキルになります。
私がこれまでの経験の上、おさえておくべきパラメータは以下の3つです。
- pH
- DO
- CO2
3つのポイントについて解説します!
pH
pH(ペーハー、ピーエッチ)は培養液中の酸性、アルカリ性を知るための指標です。
中性が7、それより低くなると酸性側、高くなるとアルカリ性側になります。
レモンは酸っぱいですよね、レモン汁は酸性側のpHです。
微生物の培養にpHはかなり重要です。
それはなぜかというと、スバリ!
「pHによって微生物の生育や目的物質の生産性が左右されるからです!」
微生物が培地を食べて増殖すると、培養液中のpHが経時的に変化していきます。
あるpH以上になると生育が止まってしまう、目的物の生産が止まってしまうなどpHは微生物に大きな影響を与えるパラメータです。
まずは一つ目のパラメータ、pHを覚えておいてください!
DO(溶存酸素)
DOはDissolved Oxygenの略で溶存酸素、つまり、培養液中に溶けている酸素量のことです。
好気性微生物=生育に酸素が必要な微生物にはO2(酸素)が必要です。
微生物を培地に接種し、増殖が進むとDO値が下がってきます。
DOをモニタリングすることで、微生物の生育度合や、酸素量の過不足がわかります。
ではそれがわかってどうなるのか?っていうと、ズバリ!
「通気量や撹拌数が不足しているかどうかがわかるからです!」
DO値がゼロになりそうな場合は通気量や回転数を上げてDOを確保する対応をします。
また、DOは次に説明するCO2と相関する動きをしますが、絶対というわけではないので注意が必要です。
2つ目のパラメータ、DOをおさえておいてください!
CO2(二酸化炭素)
最後に3つ目がCO2です。
微生物は培養液中で人と同じように呼吸をします!
そして、同じようにCO2(二酸化炭素)を排出します。
培養タンクから排出される気体中のCO2を測定するのがこのパラメータになります。
CO2はpH、DOと異なり、培養液に接触せずに培養槽から排出される気体の状態で測定します。
CO2は微生物の増殖がはじまったら、増加していくパラメータになります。
培養初期に上昇し、培養後期に向かって減少していきます。DOと逆の動きをします。
そのため、このパラメータはズバリ!
「微生物の生育がどの程度、活発なのかがわかります!」
以上、3つ目のパラメータ、CO2となります。
培養経過図の見方
では、実際に3つのパラメータをどういう形で読み解いていくか?
「培養経過図」の見方を解説します。
ちなみに、パラメータはリアルタイムで取得できることが前提で話を進めますね。
pH、DO、CO2がどのようなグラフを描くのかをまずは実際に培養してみます。
もしくは過去の培養経過図を入手します!
その中でポイントとしては、、、
「変化点」を探す!
これに尽きます。
特にpHは微生物が培地を食べて増殖する際に、代謝のポイントとして変化します。
例えば、培養初期は炭素源を食べてpHが下がる、培養が終わるとpHが上がるなど、、。
この変化点を探し出し、解析を進めることが基本となります。
実際には微生物によって培養経過図は多種多様な挙動になります。
そのため、pH、DO、CO2がどのような挙動をとれば、よい培養経過図なのかを突き詰めていくことになります。
今後、実際の培養経過図を使った解説もできればと考えています。
ぜひご参考下さい!
(補足 パラメータ数について)
培養のパラメータの数については、ほかにもっとたくさんのパラメータを見た方がという意見もあろうかと思います。
ただ、その意見に対して私は反対です。
結論から言うとたくさんのパラメータがあるとどこをみていいのかわからなくなるからです。
今回解説した基本3つのパラメータ+1つぐらい(品目特性)がいいかなと個人的には思います。
いろいろなセンサが開発・実装されているような話は最近よく聞きます。
今後AIなどを使用した解析ができるのであれば、パラメータはもっと増えていってもいいかなとは思います。
人ベースであるならば、今回ご紹介した内容で取り組まれるのがよいかと思います!
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