ろ過って難しい?トラブルを解決するための3つのポイントを解説!

精製

微生物発酵は培養だけでは終わりません。

微生物がつくった有用な物質を取り出す精製工程が必要です。

精製工程では主に以下のような工程があります。

  • 菌体分離
  • 濃縮
  • 清澄ろ過
  • 除菌ろ過
  • 乾燥

その中でも難易度がもっともトラブルが多いのは、ズバリ、、、

ろ過(Filtration)です!

 

どの発酵プロセスでもおそらくろ過工程というものが入っています。

ろ過工程でのトラブルで一番多いのがろ過不良です!

私はキャリアのスタートは、まさにこのろ過からでした。ものすごく苦労した、そして今も苦労している工程です。何度、ろ過地獄というトラブルに見舞われたことか、、、

 

ろ過不良が発生した場合の解決法について、以下の3つのポイントについて解説したいと思います。

  1. ろ過不良の原因をおさえる!
  2. ろ過テストで指標をつくる!
  3. 理論ではなく実践でいく!

 

3つのポイントについて解説します!

ろ過不良の原因をおさえる!

ろ過不良ってなんでしょう?

一般にろ過工程にはフィルタープレスやメンブレンフィルターなどの設備が使用されます。

ろ過不良は、目詰まり物質によってフィルタープレスのろ布やメンブレンフィルターが詰まって閉塞することです。

結果として、工程時間が大きく遅延、または中断という事態が発生します。

 

目詰まりを発生させている主なものは以下の4つです。

  • 培養で使用した微生物
  • 培地中の残渣物質
  • 工程途中で増殖した微生物
  • 工程途中で発生した目詰まり物質(オリ、塩類など)

 

まずはどういったものが目詰まりを発生させていくのかをおさえましょう。

 

その上で基本的な対応は以下の2点です。

  • 上流工程でできるだけ取り切る!
  • 微生物増殖、目詰まり物質を析出させないようなプロセス設計をする!

目詰まり物質も1種類とは限りませんので、全体の工程をみて、何が目詰まり物質かをおさえましょう!

 

ろ過テストで指標をつくる!

現場でろ過不良が発生したときに、一番やってしまいがちなのは、、、

ろ過不良が起きてもそのままろ過を継続してしまうことです!

 

ろ過不良が発生した場合は、中断すべきかどうかの判断が必要になります。

「中断すると手間も時間もかかる、、」「でも、このまま続けても難しいんだけど、、、」

正直、中断などはしたくないですが、完全にろ布やフィルターが閉塞している状態では状況は改善しません。

なんらかの手を打つことが重要です!

 

そのため、プロセス設計時にろ過テストの指標をつくっておくことが大事です。

つまり、これは、、

「ろ過を継続すべきか、中断すべきかの判断指標をつくっておく!」

ということです。

 

ちなみにろ過テスト方法としては、吸引ろ過が一番やりやすいと思います。

ブフナーロートや吸引ろ過瓶、吸引ポンプを使う方法です。

 

ラボでのろ過テスト結果と現場でのろ過性がイコールとなる指標をつくれると非常に心強いです。

トラブルが発生した時に拠りどころとなる指標があるとスピーディーに対応できます!

ろ過テストでの品目にあった指標をつくること、これポイントです!

 

理論ではなく実践で行く!

ろ過理論というのは学術的にたくさん研究されており、Ruthのろ過方程式などが知られています。

もちろん私も理論の勉強をしていますが、現場に立つとそれが通用しない場面に遭遇します。

微生物発酵の現場でろ過不良が発生したときには、理論が役立ったことは私の経験上はありません。

 

理由は、、、

培養液が微生物や培地によって異なり、培養バッチによって変化する!」

ためです。

そのため、これまでの流れの対応が必要です。

  1. ろ過不良の原因を把握!
  2. ろ過テストで指標を作り、判断できるようにしておくこと!

 

理論が通用しないときは柔軟に考え方を変えることも技術者には必要です!

頑なに理論に固執すると力技での対応に終始し、現場の作業員が疲弊してしまいます。

 

まとめ

私は20年の実務経験から、ろ過工程の対応については、結果的にゴリゴリの実践派になりました!

もちろんデータに基づいて仕事はしますが、理論では完全に抑えられないということを把握しているということです。

 

現場対応の経験を積んでいくと、理論と実践のはざまで苦しみますが、現場対応の正解は、

「工程が所定の時間内に収まり、目的の収率で工程を流せること」

これに尽きます!

ラボと現場の違いがあることを認識して、いかに速く解決策を導き出すことができるか!

いきなり答えは出ませんが、工程安定化を念頭に仕事を進めれば、結果はついてくると思います。

ぜひご参考下さい。

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