皆様、ご無沙汰しております。
久しぶりの更新となりますが、今回は設備導入の実践編として、設備仕様策定から要求仕様書作成までの流れを解説させていただきます。
わかりやすいように例として遠心分離機の導入を例として取り上げて説明させていただきますね。
前半分の基本の流れについては以下の通りです。
(基本の流れ)
- 設備仕様策定
- メーカー調査
- メーカー面談
- 概算見積書の入手
- 要求仕様書作成
設備仕様策定
前提としては新規の設備導入を想定します。設備更新の場合は今使用している機種情報があるのでその情報をベースに進めると設備導入は非常にラクになります。
まず検討する項目は以下の通りです。
- 設備能力:時間当たりの処理量(500~1,000L/時間)、年間の生産量も含めてどの程度にするか?
- 必要人員:設備を稼働させるために必要な人員はどの程度か?
- 予算 :どれぐらいの予算規模か?
ざっくりですが、上記の3点を決めましょう!
この段階ではまだイメージがはっきりとしていなくても大丈夫ですのでとりあえず次のメーカー調査に移りましょう。
メーカー調査
次にメーカー調査です。
遠心分離機のメーカーの調査を行います。おおよそ以下の3つの方法で調査することになります。
- ネット検索
- 社内情報収集
- 社外情報収集(代理店経由など)
今はネットですぐに検索することはできますが、一番固いのは社内での情報収集です。社内に遠心分離機の導入実績があれば、まずは該当のメーカーの情報を完成図書などでチェックします。その内容を基にして相見積のメーカーを探すことになります。
導入実績がない場合などはネット検索か代理店経由での調査になります。
ここでポイントです!
取引がある代理店を通じてメーカー調査をした場合、最終的にその代理店を通じてしか設備を購入できない場合があります。
「えっ、どうして?」と思われる方もいらっしゃると思いますので説明します。
仮にA代理店を通じてメーカーを探してもらったとしましょう。そして、A代理店からAメーカーを紹介されたとします。その後、マージンがA代理店よりも安いB代理店からAメーカーの設備を購入しようとしたり、Aメーカーから直接購入しようとした場合にAメーカーからNGを出される場合があります。その理由は初めに紹介してくれたA代理店との関係性をAメーカーが重視する傾向(商習慣)があるからです。そのため、一度A代理店を通して紹介してもらうと代理店縛りが発生する場合がありますのでご注意下さい。もちろん縛りが無い場合もあります。
「別にそれでいいじゃないか」という声も聞こえてきそうですが、代理店経由する時点で必ずマージンが発生します。そのため、メーカーから直接購入するよりも高い金額で購入しなければならなくなります。例えば、2,000万円の設備を買う場合、代理店経由だと10%(200万円)程度、金額を上乗せれられていることがあります。可能であれば、メーカーからの直接購入が一番いいです。
これ、おそらく誰も教えてくれないと思います!
私は基本的にはメーカーの営業担当者に直接購入できるかを確認してから、見積取得等を進めるようにしています。代理店経由でメーカーを探してもらう場合も、とりあえずメーカーを数社探してもらう段階で留めます。代理店経由で話を進めてしまって見積書を出してもらうと後でメーカーからの直接購入できなくなる可能性が高いのでご注意下さい。
話を戻しますが、遠心分離機の場合は、大手メーカーだと三菱化工機、アルファラバル、GEA、巴工業などの企業が見つかってくると思います。
メーカー面談
遠心分離機のメーカーに目星がついたら、メーカーの営業担当者と面談を行います。
直接面談する場合もありますが、最近はWeb面談がやはり主流ですね。とりあえず、Web面談を申し込みましょう!
面談では設備仕様策定で決めたこちらの要望を伝えましょう!あと追加で以下のことも確認して下さい!
- 納期
- 費用感
特に費用については予算との関連があるので注意が必要です。代理店を使用している場合は、代理店経由でした教えてくれない場合があるので概算見積や費用感を早めに教えてもらうようにしましょう。あらかじめ決められた予算との乖離が大きすぎると予算額の変更をする必要があります。
こちらの状況を説明し、どれぐらいの時期にどういった仕様の設備を入れたいと説明します。その後、メーカーに条件を満たす機種を選定してもらいましょう。但し、明確な予算額についてはくれぐれも先方には伝えないようにして下さい。こちらの予算額がメーカーの見積額より高かった場合は、金額を高めで見積が出される可能性があります。
ここでポイント2つめです!
メーカーでの事前テストについて説明します。
機種選定にあたって事前のテストをメーカーから打診される場合があります。その場合できれば、テストをする方向で調整しましょう。できるだけ精度の高い設備選定のためにはラボやパイロットスケールでのテストは実施しておいた方が確実です。設備上の仕様についても現物をみるとよくわかります。
テストにあたっては以下の点にご注意下さい。
- サンプルの量(サンプル量が対応できる範囲か?)
- テスト費用(有償か無償か?)
- テスト実施時期(こちらが実施したいタイミングでテストが可能か?)
- 立ち合いの有無(メーカーへのお任せではなく立ち合いが可能か?)
自身で先方に出向いていただき、テストをしておいた方が設備選定の精度は上げられますので、テスト前提で考えておいた方がベターです。
概算見積書の入手
ある程度、設備仕様が明確になってくるとメーカーからの見積書入手の段階になります。
ただ、この時点ではあくまでも概算見積書になります。
メーカーによりますが概算見積書といえど提出には結構時間がかかる場合があります。プラス、この時点で複数社に見積を依頼しているということが前提となります。そのため、あまりたくさんのメーカーから見積をとると収拾がつかなくなる恐れがあるので注意が必要です。
設備導入をやったことが無い人は明日にでも見積書が出るだろう的な感じでいますがそれは結構難しです。概算でも見積書作成になるので一週間ぐらいはみておいた方がいいと思います。設備が大きくなればなるほど、また詳細見積になるほど見積書提出は遅くなるのが一般的です。
まだかまだかとやきもきしている間にメーカーからメール(PDFファイル)で見積書が送られてきます。
見積書が送られてきたら、まずチェックするのは以下の4項目です。
- 設備仕様
- 金額(税抜き・税込み)
- 納期
- 支払い条件
- 引き渡し条件
設備仕様がこちらの仕様を満たしているかをまずは確認して下さい。その後、ついつい金額に目が行ってしまいますが、そのほかの条件も大事ですので以下、少し詳しく説明します。
納期:6ヶ月後に設備導入をしたいのに、納期が12ヶ月となっているとその時点でいくら見積金額が安くてもそのメーカーは選定からは外さざるを得なくなるので注意が必要です。
支払い条件:発注時に支払いが発生する場合は注意が必要です。前倒しで費用が発生しますので社内調整が大変になります。できれば検収時に全額支払いの条件にできることがベターです。
引き渡し条件:条件に「車上渡し」と書いてある場合があります。これはトラックで現地までただ持ってくるだけという意味です。トラックから設備を下ろしてもくれません。こちらの指定する場所に据え付ける場合は別途費用が発生します。何も知らずに車上渡しの条件で進めてしまって、トラックが現地に到着した場合はもちろんトラブルになります。必ず据付のことも考慮して進めましょう!
要求仕様書の作成
次に要求仕様書の作成を行いましょう。
順番からいくと本当は要求仕様書が一番初めに作成だろうとおっしゃる方もいると思います。設備導入に詳しい方にとったらその通りです。ただし、設備導入をしたことがない人が初めから要求仕様書を作れるでしょうか?
おそらく、作れません!
これまでのメーカーとのやり取りから概算見積書まで取得までするといろいろなことがわかってきます。さらに概算見積書には以下のような項目が記載されているので要求仕様書に必要な内容もわかってきます。
- 機器費(設備能力)
- 現地工事費
- 設計費
- 各種保険料
- 一般管理費
見積書の内容の確認、不明点や疑問点をメーカーに確認する。そういったやり取りの中で自身が導入する設備の仕様が徐々に明確になってくると思います。
そして、最初の項目である設備仕様策定であげた点に戻ってくることになります。
- 設備能力:時間当たりの処理量(500~1,000L/時間)、年間の生産量も含めてどの程度にするか?
- 必要人員:設備を稼働させるために必要な人員はどの程度か?
- 予算 :どれぐらいの予算規模か?
要求仕様を作成するにあたっては、設備能力、材質、サイズなどを落とし込んで作成することになります。
まとめ
今回は、設備導入 実践編ということで説明させていただきました。
意外と大事なポイントは多かったように記事を書いていて思いました。
設備導入の仕事はいかに予定通りの納期でいかに安く、そしていかにスムーズに稼働までもっていくかがポイントになります。
ただ、正直計画通りにはなかなかいかないことも多々あります。メーカー都合で納期を延ばしてほしいとか、半導体不足で必要な部材が入手できないなどのことも発生します。
くれぐれもメーカー選定のところは注意して下さい。私も以前、上長から100社から見積もりを取れと言われ、できるだけとろうとしましたが現実問題無理でした。そんな無茶を言う上長は全くわかっていない素人ですのでその点、念頭に仕事を進めて下さいね。
以降のフロー、詳細見積の入手から後編で説明させていただきます。
是非ご参考下さい。
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